本書はノンパラメトリック検定の基礎理論の解説書です.ノンパラメトリック検定の基礎的な手法(適合度検定,ウィルコクソンの順位和検定,マン・ホイットニーのU検定,ウィルコクソンの符号付き順位和検定,クルスカル・ワリスの検定,スティール・デュワスの検定,スピアマンの順位相関係数)に絞って解説しています.
本書の特徴は以下の2点です.
- Excelによるシミュレーションを援用して,各種検定における統計的性質を直感的に理解できるように工夫しています.
- 理論の解説では工学部の学部2年生修了時程度の数学の知識(微分積分学,線形代数学)を前提に解説しています.
本書で紹介するシミュレーション用のExcelファイルは
ここ
からダウンロードできます.
Excelのシミュレーション機能は素晴らしく,何十万回,何百万回という統計的検定を私たちの目に見える形で実行してくれます.私たちが直感的に検定の理論を把握するのに適しています.
ノンパラメトリック検定の理論は難しく,筆者自信の数学力(上記のレベル)で納得のいく説明を得るには,書籍を求めてあちこち訪ね歩かなければなりませんでした.本書は筆者がノンパラメトリック検定を理解するためにあちらの本,こちらの本と分かり易い説明を探し求めた道程をまとめたものです.筆者と同じように数学が得意でない人が,ノンパラメトリック検定を学ぶ一助となれば幸いです.
パラメトリック統計に関しては,拙稿「統計・多変量解析とソフトコンピューティング(改訂版)」共立出版にて基礎理論を解説しています.この本の内容の一部は
ここで公開しています.同書でもExcelを用いたシミュレーションを駆使して,読者が統計的検定における様々な検定統計量をイメージしやすくする工夫をしています.本書は同書の姉妹本として著しました.
目次は以下の通りです.
1 はじめに
2 中心極限定理
2.1 中心極限定理とは
2.2 一様乱数を用いた中心極限定理のシミュレーション
3 二項検定
3.1 二項分布
3.2 サンプルサイズが小さい場合
3.3 サンプルサイズが大きい場合
3.4 二項分布の平均と分散
3.5 二項分布の極限
4 適合度検定
4.1 適合度検定の実施例
4.2 クラス数2の場合の χ2 分布
4.3 多項分布の正規分布による近似
4.4 クラス数kの場合のχ2分布
5 ウィルコクソンの順位和検定
5.1 小標本の場合
5.2 大標本の場合
5.3 同順位(タイ)がある場合
5.4 ウィルコクソンの順位和検定の理論
6 マン・ホイットニーのU検定
6.1 小標本の場合
6.2 大標本の場合
6.3 同順位(タイ)がある場合
6.4 マン・ホイットニーのU検定の理論
7 ウィルコクソンの符号付き順位和検定
7.1 小標本の場合
7.2 大標本の場合
7.3 同順位がある場合
7.4 ウィルコクソンの符号付き順位和検定の理論
8 クルスカル・ワリスの検定
8.1 小標本の場合
8.2 大標本の場合
8.3 クルスカル・ワリス検定の理論
8.4 同順位が(タイ)ある場合
9 スティール・デュワスの検定
9.1 小標本の場合
9.2 大標本の場合
10 スピアマンの順位相関係数
10.1 小標本の場合
10.2 大標本の場合
10.3 スピアマンの順位相関係数の理論
日本知能情報ファジィ学会東海支部勉強会(2017年12月開催)資料
2018年7月
著者:古橋 武
名古屋大学名誉教授(令和2年4月より)
Email: furuhashi.takeshi*
*に @gmail.com を入れてください.
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