映画の英語が聴き取れるようになった!(その1)

令和6年3月現在,私は69歳です.昨年の2月,あるYouTube動画のおかげで,映画やTVドラマの英語を耳に残せるコツをつかむことができました.それまで,英語の映画やTVドラマのリスニングにチャレンジしても,ほとんど聞き取れなかったため,5分と集中力が続かず,他のことを考え始めるか,眠ってしまったりしていました.それが,「注聴点」を変えるだけで,台詞の一文全部が耳に残るようになり,集中力が持続するようになりました.

それから,俄然英語の映画やTVドラマを視聴する意欲が湧き,朝夕の散歩の際に聴き続けたところ,昨年の12月頃に,自分の耳を「英語耳(音韻認識)」へと切り換えるコツをつかみました.日本語の雑念を振り払って英語を聴くことができるようになり,英語がとてもはっきりと聞こえてくるようになりました.

この英語耳(音韻認識)で聴くことを続けていたところ,今年の2月頃から,頭の中のネットワークが「英語耳(意味理解)」につながったように感じる体験をするようになりました.その結果,映画やTVドラマのセリフの意味を聴きながら理解できるようになり,「注聴力」を維持しながらストーリーを追えるようになりました.

現在は,映画・ドラマを楽しみながら,聴き取りにチャレンジを続けています.知らない発音,単語,イディオムは数多く存在し,しばしば英語耳がゆらぐこともありますが,その都度「英語耳(音韻認識)」に戻り,「英語耳(意味理解)」につながるのを待っています.この先,英語耳(音韻認識と意味理解)に切り換えるコツを見つけられるのか楽しみにしています.

以下,コツについて,具体的(?)に解説します.

● 令和5年2月時点の私の実力

ニュース(例えばCNN)のアナウンサーの英語であれば,聞いて理解できました.また,映画やTVドラマは英語字幕があればストーリーを把握しながら視聴できました.しかし,字幕なしでは,過去約60年間何度チャレンジしても挫折し,直近の10年ほどは映画やTVドラマを英語で聴くことを諦めていました.

● 「注聴点」への切り換えのコツ ―カタカナと思って聴く―

コツを教えてくれたのは,「ラナ英会話 リスニング矯正入門」というYouTubeの動画です.「なぜか英語のセリフが日本語みたいにハッキリ聞こえ始める」というサムネイルに興味を惹かれ,疑いの気持ち一杯で視聴しましたが,動画の最後には驚きの体験をしました.サムネイル通りに,最初は全く聞き取れなかったセリフが,日本語のようにはっきりと聞こえてきました.カタカナ英語にはすばらしい効能があることを初めて知りました.

動画が教えることは,英語のセリフをカタカナに置き換えることの効能です.動画では,まず,映画やTVドラマの一場面を流し,その中のセリフをカタカナで置き換えて数回読聞かせてくれます.そして,もう一度英語の音声を流します.これだけで,最初は聞き取れなかった英語がはっきりと聞こえるようになるのです.私には強烈な体験でしたが,パートナーにはオリジナルの音からかけ離れて聞こえるだけでした.耳の良い人には,必ずしも効果があるわけではないようです.夫婦間で驚きを共有することはできませんでした.

教えてもらったコツは,聞こえてくる音はカタカナであるとして,このことを注視点ならぬ「注聴点」と捉え,ここに意識を切り換えることです.日本語話者は,たとえ無意味な音の羅列でも,カタカナであれば聞き取ることができます.どんなに速く話されても,音が耳に残ります.このコツのおかげで,セリフの一文が全部耳に残るようになりました.それまでは約60年間,英語を聞き取る際に,単語を切り出すことに集中していましたが,この方法では脳内処理が追いつかず,セリフ一文の途中で置いてけぼりになって後半は全く耳に残りませんでした.

ただし,耳に残ったカタカナを英文に対応づけることは,ほとんどできませんでした.それでも決定的に変わったのは,セリフの一文一文を耳に残しながら聞き続けることができるようになったことです.ストーリーを追えなくても,英語聞き取りのチャレンジを続けられる手がかりが得ることができました.

● 「英語耳(音韻認識)」に切り換えるコツ ―エア・ディクテーション―

英語聴き取りに手がかりを得たので,英語字幕があるNetflixに入会し,映画やTVドラマの視聴を始めました.また,YouTubeで,英語の音の変化に関する動画,例えばRupa senseiの動画などを参考にしました.視聴を続けるための動機づけは,映画・TVドラマの内容が面白いことでした.英語勉強の動機だけでは全く続けられませんでした.

英語字幕を頼りに,耳に残った音に対応する英語を確認しながら視聴を続けたところ,次第に,聴いているだけでストーリーがわかる場面が増えてきました.進歩は遅々としたものでしたが,昨年11月に転機が訪れました.

この頃は寝床に入ってから眠るまでのしばらくの間,映画やTVドラマを聴くことを始めていました.すると,うとうとしているときに英語がはっきりと聞こえる体験をしました.半覚醒の状態なので,気のせいかも知れません.家内には「体験が主観に過ぎるので一般化できない」と言われました.しかし,その後も同じ体験を繰り返し,1つの仮説を持つに至りました.それは,「日本語の雑念が消えると,耳が英語の音を捉えやすくなる」というものです.

では,どうやって雑念を消すのか?昨年12月にもう1つの転機が訪れました.複数のYouTube動画で推奨されているディクテーションの効能が参考になりました.聞いた英語を書き出すことで,自分が何を捉えられていないのかを把握し,集中力が増し,しっかり聴けるようになるというものです.逐一動画を停止してセリフを書き出していては,私の意欲が続かないので,エア・ディクテーションを採用しました.頭の中の後頭下部あたりに聞こえている音に重ねるように英文をイメージしました.

効果がありました.半覚醒のときのように英語がはっきりと聞こえてくるようになりました.英語を聞いている自分の耳を日本語の雑念から切り離せました.エア・ディクテーションが,「英語耳(音韻認識)」に切り換えるコツであると感じました.パートナーは,「これが主観ではないとどうやって検証するの?」と問いかけてきますが・・・・・

(主観的に)「英語耳(音韻認識)」に切り換えることができ,すなわち,音声認知はそこそこできるようになりましたが,依然として意味理解には至らず,ストーリーを追えないことがしばしばありました.

● 令和6年2月時点の私 ―英語耳に切り替わる体験―

「英語耳(音韻認識)」で聴き始めて2ヶ月ほど経った頃,時折,頭の中で聞こえてくる音に意味がつながるようになりました.その連結には日本語は介在していないようです.頭の中でネットワークが形成されたように感じ,「英語耳(音韻認識と意味理解)」に切り替わったと解釈しています.

効能としては,映画やTVドラマのストーリーの概略を字幕無しで追えるようになったことが挙げられます.ただし,概略としたのは,知らない発音,単語,イディオムが私には無数にあり,それらに出くわすたびに「英語耳」が揺らぎ,迷子になるからです.その都度,「英語耳(音韻認識)」に戻ってやり直しています.

● 今後 ―英語耳に切り換えるコツは?―

英語耳(音韻認識と意味理解)に切り換えるコツを見つけられるのか?そもそも,そのようなコツは存在するのか?これからは地道に未知の音に慣れていくしかないのか?この答えを得ることが,チャレンジを続ける楽しみとなりました.約60年間望んでもできなかったことへの思いは,やはり強かったです.

聴けることでわかる新たな楽しさに出会えることも,大きな楽しみです.

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映画の英語が聞き取れるようになった!(その2)

令和6年8月です.昨年の12月に英語耳(音韻認識)に切り換えるコツであるエア・ディクテーションを見つけてから9ヶ月が経ちました.今年の2月頃には,時折,頭の中が英語耳(音韻認識と意味理解)に切り替わる体験をするようになりました.それから半年間,朝夕の散歩や就寝前の小一時間を英語の映画やTVドラマを聴く時間に充ててきました.主にNetflixを利用しています.この動画配信サービスは英語字幕を表示してくれるので,聞き取れないセリフの確認に役立ちます.

私の主観ですが,英語耳のネットワークが着実に脳内に拡がってきました.『STAR TREK』のような比較的ゆっくりと話すドラマはほぼ聞き取れるようになり,『Good Witch』や『Good Doctor』 など,アメリカ人にとって普通の速さの会話も,聴いているだけでストーリーが概略把握できる程度になりました.

以下も,私の主観的な考えです.

● 注聴点を切り換えるコツ「カタカナと思って聴く」は,過渡的手段

このコツにより,英語のセリフ一文を耳に残す体験ができました.この体験は私にとっては新鮮で貴重なものでした.その後,この注聴点切り換えに意識を向けながら英語を聞き続けることで,意味はさておき,一文全体を耳に残すという聞き方を体得できました.

 ただし,耳に残った音に英文を対応づけるには,その対応関係を知らなければなりません.耳に残ったカタカナと英文の対応関係は,私には未知の領域でした.そこで,「カタカタと思って聴く」聞き方は,聞こえてくる音のままに一文を耳に残す聞き方を体得するための過渡的手段と理解しました.

 なぜ,一文を耳に残す聞き方が重要なのか?それは,先頭から逐語訳的に意味を取ろうとすると,かえって聞き取れなくなるからです.音の区切りを間違えると,それ以降の音と英文の対応関係を見つけられなくなってしまうことが大きな要因と考えます.一文全部が耳に残っていれば,正しい区切りを見つけやすくなります.

● シャドーイングができることは英語が聞こえてくるための十分条件(?)

英語リスニング能力向上の有力な練習法としてシャドーイングが推奨されています.「正確に英語を発音できるようになれば英語が聞こえてくる」と,シャドーイングの経験者がYouTubeなどで発信しています.私も少しずつこのことを実感できるようになりました.しかし,正確に発音できなくても,英語が聞こえてくる体験も数多くするようになりました.そこで,「正確に英語を発音できるようになることは,英語が聞こえてくるための十分条件である」という仮説を立てました.

 英語が聞こえてくるための必要条件は,「聞こえてくる音に対応する英文を知っていること」です.自分では正確に発音できなくても,この知識があれば,英語が聞こえてくるでしょう.私は,この必要条件を満たすため,聞き取れなかった音で,動画の進行上どうしても気になった箇所を英語字幕で確認することを続けています.

● エア・ディクテーションは英語耳(音韻認識)切り換えのコツ

英語のセリフを聞いて意味がわかり,しかも内容が面白いと,つい次のセリフの意味を取ることに意識が向かってしまい,かえって英語が聞こえてこなくなることがあります.

 英語耳は,「音韻認識の脳内ネットワーク」と,「意味理解の脳内ネットワーク」により実現されていると考えます.私の英語耳ネットワークは全くもって不完全です.中学生のときから,音韻認識ネットワークを育てることなく,英語耳ネットワークを形成してきました.そのため,英語の音から意味をとろうとすると,(ようやくできつつある)音韻認識ネットワークを介さない古いネットワークが起動されるようです.

 英語耳(音韻認識)を起動させるコツがエア・ディクテーションです.エア・ディクテーションは,聞こえてきた音に対応する英文を脳内の聞こえている部位あたりにイメージする作業です.音と英文を対応付けた結果をエア・ディクテーションしようとすると,音と英文を対応づけやすくなる理由は,エア・ディクテーションに集中することで,英語耳(音韻認識)を起動させられるからだと考えています.

● 今後 -英語耳に切り換えるコツ-

今年の2月時点では,英語耳(音韻認識と意味理解)に切り換えるコツがあるのではと期待し,コツを見つけられるかどうかを自問していました.

 半年後の現時点(令和6年8月)では,意味理解は音韻認識に連動しており,英語耳(音韻認識)が機能すれば,英語耳(意味理解)は自動的に起動されるのではないかと,自らの経験を基に想像しています.したがって,英語耳(音韻認識と意味理解)に切り換えるコツはエア・ディクテーションであると考えています.

映画やTVドラマなどを楽しみながら,英語耳(音韻認識)と英語耳(意味理解)をそれぞれ育てていけば,ひょっとしたらエア・ディクテーションを意識しなくても「英語耳」に切り換えられる日が来るのではないかと期待しています.60年近くも叶わなかった英語の聴き取りに新たな展開が得られたことが,とてもうれしいです.

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エア・ディクテーションとシャドーイング
-ChatGPTとの対話ログ-

令和6年9月です.先のブログ 映画の英語_その2 で,私はエア・ディクテーションを採用して英語の音韻認識ネットワークを起動していると述べました.もちろん,このネットワークの起動にはシャドーイングも効果的でしょう.では,音韻認識ネットワークの訓練には,シャドーイングとエア・ディクテーションのどちらがより効果的だろうかと疑問に思いました.

考察の精度を上げられないかと期待して,ChatGPT 4oと対話をしました.以下に対話ログを掲載します.ChatGPTが出した結論は

「シャドーイングは、音韻認識ネットワークの訓練においてエア・ディクテーションよりも音声に特化しているため、より直接的で効果的」

です.ChatGPTの回答がどの程度信頼できるのかは現時点ではわかりませんが,主観ではシャドーイングを心がけながら視聴しているときの方が,エア・ディクテーションのときよりも英語が聞こえてきます.ChatGPTが挙げてくれた参考文献はこれからゆっくり読むとして,まずは,シャドーイングに取り組もうと思っています.

ChatGPT 4oとの対話ログ

シャドーイングと脳の活性部位に関する学術的報告はある?
3件のサイトを検索しました

“academic report shadowing brain activation areas”
bing.com

SpringerLink — Effects of training of shadowing and reading aloud of second language on working memory and neural systems | Brain Imaging and Behavior
link.springer.com

MDPI — Applied Sciences | Free Full-Text | Using Mental Shadowing Tasks to Improve the Sound-Evoked Potential of EEG in the Design of an Auditory Brain–Computer Interface
mdpi.com

学術的な研究によると、シャドーイングが脳の特定の部位を活性化させることが示されています。特に、作業記憶や音韻ループに関連する脳領域が関与していることが確認されています。例えば、シャドーイング中に活性化される脳領域としては、側頭葉周辺(言語処理に関与)や小脳(発音と運動調整に関与)などが挙げられます。これらの領域は、音を聞いて即座に反応し、音声を模倣する際に重要な役割を果たしていることが報告されています。

さらに、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた研究では、シャドーイングが音声処理や記憶処理に関連する脳領域の神経可塑性を促進し、トレーニングを通じて脳の機能的な変化が見られることが示されています。また、EEG(脳波)研究によれば、シャドーイングタスクはP300のような脳波のイベント関連電位(ERP)成分を引き起こし、脳内での音刺激に対する反応性を高めることが確認されています​(SpringerLink)​(MDPI)。

このような研究結果は、シャドーイングが単なるリスニングスキルの向上だけでなく、脳の構造的・機能的な変化にも寄与することを示唆しており、言語学習の神経学的基盤を理解する上で重要な知見となっています。
音韻認識ネットワークの発達へのシャドーイングの効果に関する学術的報告はある?
3件のサイトを検索しました

“shadowing effect phonological awareness network academic report”
bing.com

SpringerLink — Effects of training of shadowing and reading aloud of second language on working memory and neural systems | Brain Imaging and Behavior
link.springer.com

JSTAGE — The Effect of Shadowing on the Subvocal Rehearsal in L2 Reading :
jstage.jst.go.jp

学術的な研究では、シャドーイングが音韻認識ネットワークに対して重要な影響を与えることが確認されています。シャドーイングは、音韻ループに関連する脳の領域を活性化し、特に音韻作業記憶に関わる部分の機能を強化します。このループは音声情報を保持し、それを反復することで音韻認識や発音の向上に寄与します。研究によれば、シャドーイングは単にリスニングスキルを強化するだけでなく、音声を効率的に内部でリハーサル(繰り返し)する能力、つまり音韻的リハーサルの効率も向上させることが示されています​(SpringerLink)​(JSTAGE)。

さらに、シャドーイングのトレーニングは脳内で音声処理に関わる領域を発達させ、特に音声の認識速度や反応の正確性を高めることが確認されています。このため、音韻認識ネットワークの発達において、シャドーイングは非常に有効な手法とされています​(SpringerLink)。

これらの結果から、シャドーイングは音韻的な認識力や記憶力を向上させるだけでなく、英語学習者が音声を素早く正確に処理できるようにするための重要なツールであることが示唆されています。
エア・ディクテーションとシャドーイングでは,音韻認識ネットワークの発達に対してどちらがより効果的?
エア・ディクテーションとシャドーイングはどちらも音韻認識ネットワークの発達に有効ですが、効果の違いがいくつかあります。それぞれの手法がどのように音韻認識に影響を与えるかを比較すると、以下のような特徴が見られます。
  • シャドーイングの効果
  • シャドーイングは、聞いた音声を即座に反復することで、音韻ループや作業記憶の活性化を促進します。音韻認識ネットワークの発達においては、特に音韻ループの強化に優れているとされており、音声を素早く処理して反応する能力を高めます。研究によれば、シャドーイングは音声認識速度や発音の精度を高める効果があり、音声とテキストを結びつけるプロセスに大きな影響を与えます​(SpringerLink)。

    シャドーイングは、実際の音声を聞きながら即時的に反応することが求められるため、音声認識と発音を同時に強化する効果があります。また、音声を処理する速度や精度の向上にも寄与し、音韻処理の効率化に繋がるとされています​(JSTAGE)。

  • エア・ディクテーションの効果
  • 一方で、エア・ディクテーションは音声を聞いてその内容を頭の中で想像し、書き起こすというプロセスを通じて、音声認識とテキストの関連性を深める訓練方法です。この手法は、音声を精密に聞き取る力を鍛えるため、音の細部まで認識する能力が向上します。また、正確に音声を把握し、それを意味ある情報として保持することに焦点を当てているため、意味の理解や文脈に基づく音韻認識に役立ちます。

    エア・ディクテーションは特に、リスニング力がある程度向上した後に、より深い理解を助ける手段として有効です。音声の意味処理ネットワークと音韻認識の両方を活性化するため、音声から直接的に意味を導き出す力を養う点で有効です。

  • 比較と結論
  • 音韻認識ネットワークの発達に対して、シャドーイングは即時反応と発音に強く作用し、音のリズムやイントネーションを身につけることに効果的です。一方、エア・ディクテーションは細かい音の識別と意味の把握に優れており、音声理解をより深めるためのトレーニングとして適しています。

    音韻認識ネットワークの総合的な発達を考えると、両方の手法を組み合わせて使用することが最も効果的です。シャドーイングで音韻ループと即時的な音声認識力を強化し、エア・ディクテーションで精密な音声理解を補完することで、音韻認識ネットワークの総合的な成長が期待できます。
音韻認識ネットワークの訓練にはシャドーイングの方がエア・ディクテーションよりも,直接的で効果的?シャドーイングはテキストを介さずに音に特化することができるから.
はい、シャドーイングは音韻認識ネットワークの訓練において、エア・ディクテーションよりも直接的で効果的な面があります。シャドーイングは、音声に即座に反応し、正確に再現することを目的としており、テキストを介さずに純粋な音声処理を促進します。このプロセスでは、音韻ループ(短期記憶における音声情報の保持と処理に関わる脳の領域)が強化され、リスニング能力と発音の両方を向上させる効果が期待できます。
  • シャドーイングの直接的な効果
  • 音韻ループの活性化: シャドーイングは、音を聞き取るだけでなく、その音を即座に再生するため、音韻ループ(音声を処理し保持する脳のシステム)が繰り返し使われます。これにより、音韻認識の効率が高まり、より速く、正確に音声を処理できるようになります​(SpringerLink)。
  • 発音の改善: テキストに依存せず、直接音に集中することで、正しい音のリズムやイントネーションを習得できるため、発音の向上にもつながります。また、リスニングスキルの向上が発音の向上と密接に関連していることも報告されています​(SpringerLink)。


  • エア・ディクテーションとの比較
  • エア・ディクテーションは音声をテキストと結びつけることに重点を置いており、音声の理解と文法的な認識を深める点で優れていますが、音そのものの即時的な処理に特化した訓練ではありません。そのため、音韻認識のスピードと正確性に関しては、シャドーイングの方が直接的な効果をもたらすと考えられます。

  • 結論
  • シャドーイングは、音韻認識ネットワークの訓練においてエア・ディクテーションよりも音声に特化しているため、より直接的で効果的です。音声を即座に処理して再現する能力を高める点で、音韻ループや音声処理ネットワークに強い影響を与え、リスニングと発音の両方を強化することが可能です。ただし、音声とテキストを結びつけるエア・ディクテーションも、意味の理解や文法認識を深めるために補完的な役割を果たします。

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令和6年3月
古橋武 名古屋大学名誉教授 工学博士
Email: furuhashi.takeshi@** (**にgmail.comを入れてください)